性感染症(STD)

性感染症

性感染症(STD)とは、性交渉(オーラルセックスも含む)による細菌やウイルスの感染症です。日常生活では、感染しません。その疾患により、尿道や膣、のど(咽頭)、皮膚や全身へ症状が出現します。無症状のSTDのこともあり、知らない間にパートナーの方へ感染させてしまうこともあります。不妊症の原因や出産時に感染があると子供へ感染させてしまうこともあります。

代表的な疾患

尿道や膣: クラミジア 淋菌 マイコプラズマ・ジェニタリウム トリコモナス カンジダ など
咽頭  : クラミジア 淋菌 など
皮膚  : 梅毒 ヘルペス 尖圭コンジローマ 軟性下疳 ケジラミ症 など
全身  : H I V感染症 A型肝炎 B型肝炎 C型肝炎 など

郵送性病検査キットや自費クリニックでの簡易検査については、国の規制はなくその検査方法や検査精度については、個々の業者に任されております。クラミジアや梅毒初期では検査で陰性となることもあり、マイコプラズマ感染やインフルエンザ菌、アデノウィルスなどによる尿道炎もあり、性感染症を疑う症状がある場合は、必ず保険診療が可能な専門医療機関を受診し、治療されることをお勧めします。

症状がなく性病の検査だけをご希望な場合や健康保険を使いたくない場合は自費での検査治療を行ないます。

症状がある方やパートナーが感染した場合は、保険適応で検査治療ができます。

クラミジア感染症

感染してから症状が出るまでの期間:1〜3週間
性感染症の中で感染者数が多い疾患です。

症状

男女ともに無症状の方や症状が軽度の方も多いです。

男性の場合、排尿時の軽度の痛みや違和感で、尿道から透明な分泌物が出ることがあります。

女性の場合は、おりものの量が増えたり、外陰部のかゆみ、排尿する時の痛み残尿感が起こることがあります。

また、女性の方は、不妊症の原因になったりひどくなると腹膜炎となるがあります。

咽頭感染

ほとんどが無症状です。
女性の場合、性器感染症の10〜20%に咽頭感染を合併しております。

検査

感度の高いP C R検査を行います。結果が出るまでに、2-5日かかります。
クラミジア即日検査は検査の感度が落ちますので注意してください。

治療

内服薬での治療を行いますが、薬剤抵抗性場合、薬剤を変更して治療を行います。

治癒確認

クラミジア感染の場合、症状が改善してもクラミジアが残存していることがあり、治療の3週後以降に治癒確認をします。

淋菌感染症

感染してから症状が出るまでの期間:2〜7日

症状

男性の場合、ほとんどの方に症状が出現します。
排尿時痛や尿道から黄白色の膿がでるような症状です。

女性の場合、多くは無症状です。
黄緑色のおりもの、外陰部のかゆみ、排尿する時の痛み残尿感が起こることがあります。

咽頭感染

ほとんどが無症状ですが、性器感染症の10〜30%に咽頭感染を合併しております。

検査

感度の高いP C R検査を行います。結果が出るまでに、2-5日かかります。
男性は尿検体、女性は子宮頸管擦過検体、咽頭はうがい液を用いて検査をします。

治療

薬剤耐性の淋菌が多く、点滴での治療(20〜30分)を行なっております。

治癒確認

男性の場合は、症状が改善していれば必要ありませんが、女性や咽頭感染の場合は、 3週間後以降に治癒確認を行います。

マイコプラズマ・ジェニタリウム感染症

男性の尿道炎や女性の子宮頸管炎の原因として増加傾向であり、淋菌やクラミジアが陰性の場合の男性尿道炎患者の約20%にマイコプラズマ・ジェニタリウムが検出したと言われております。

症状

クラミジア感染症と同様な症状が出現します。男性の場合、排尿時の軽度の痛みや違和感で、尿道から透明な分泌物が出ることがあります。女性の場合は、おりものの量が増えたり、外陰部のかゆみ、排尿する時の痛み残尿感が起こることがあります。

検査

感度の高いP C R検査を行います。結果が出るまでに、2-5日かかります。

男性は尿検体、女性は子宮頸管擦過検体を用いて検査をします。

咽頭検査の可能性は低く、咽頭検査は行いません。

治療

内服薬による治療を行いますが、薬剤が効きにくい難治性マイコプラズマ・ジェニタリウム感染症の場合もあります。

治癒確認

難治性の場合もあり、症状が改善しても3週後以降に治癒確認をお勧めします。

梅毒

梅毒は、性行為により感染します。皮膚や粘膜から体内に侵入し数時間でリンパ節に達し、そこから血液を巡って全身に広がっていきます。早期であれば薬物治療で完治が可能ですが、治療せず放置すると重大な合併症を起こすことがあり妊娠している方が梅毒に感染すると胎児へ影響が出ることがあります(先天梅毒)。

症状

性行為による感染の3〜4週後に性器、肛門、咽頭や唇などにしこり(初期硬結)ができ、その後中心部から崩れてくる所見(硬性下疳)が初期症状として出現します。治療しなくても一ヶ月程度で自然に良くなってしまいます(梅毒第1期)。

初期の局所症状が消えてしばらく(約3ヶ月)してから、全身の皮膚にバラ疹と呼ばれるピンク色の発疹が‘出たり、口腔内に白っぽい斑点(梅毒性粘膜疹)などが出ることがあります(梅毒第2期)。ただ、これらの症状も数週間で改善してしまします。

その後治療しないで何年も放置しすると 心臓や血管の病気、神経麻痺、失明、認知症のような症状が出現することがあり、進行したら治療しても後遺症が出て治せないこともあります。

検査

血液検査で行います。梅毒トリポネーマ抗体(TP)と梅毒血清反応STS(RPR)の2つの項目で評価をします。

治療

第一期であれば4週間の内服治療または一回の筋肉注射で治療します。

治癒確認

治療4週間で効果判定(血液検査)を行ないますが、効果が不十分であれば追加治療を行ないます

ヘルペス

ヘルペスは、接触により感染します。単純ヘルペスウィルス(H S V)1型と2型の感染により発症し、性器、肛門や口唇の皮膚や粘膜に水疱性変化や潰瘍性変化が出現します。初感染の場合は、症状が強く出現しやすいです。潜伏期間は、5〜10日です。

H S Vは、性器感染すると神経を伝い腰仙髄神経節などに潜伏感染をします。その後何らかの要因により免疫能が抑制されたときに潜伏していたH S Vが再活性化され、症状が出ます(再発)。性器ヘルペスの6〜7割は再発性です。

検査

病変がある場合に皮膚擦過での抗原検査を行います。検査時間は、5〜10分です。

治療

内服薬による治療を行います。 初感染の場合は、10日間、再発の場合は、5日間です。

再発抑制療法 (PIT療法)

短期間で複数回(年3回以上)繰り返す方については、再発抑制療法(保険診療)があり、初期症状が出現した際に、あらかじめ処方された薬剤を自己判断で服用する方法もあります。再発を繰り返す方は、クリニックを受診された際にご相談ください。

尖圭コンジローマ

H P V(ヒトパピローマウイルス)というウイルスによる感染症です。潜伏期間は、3週から8ヶ月です。

症状

男女とも陰部や肛門付近にブツブツとしたできもの(イボ)ができます。

時間とともにイボが大きくなったり、数が増えてきます。

女性の場合、膣の内側にイボができることがあります。

検査

簡易検査はなく、通常は視診で判断されます。

治療

薬物療法と外科療法があり、薬物治療は、塗り薬による治療です。外科治療には、液体窒素や電気メスでの切除などの方法があります。状況により相談させていただきます。

治療後

再発することもあり、特に3ヶ月以内は注意の必要があります。